企業のためのブランディング基礎知識【後編】

この記事でわかること
- ブランディングを成功させるためのポイント
- ブランディングとマーケティングを成功させるためのポイント
- ブランディングの成功事例
1. ブランディングに効果的に行うポイント

ブランディングを成功させるために効果的に行うポイントについて説明します。
・ブランドコンセプト(起点となるもの)
ブランディングの起点となるのが、ブランドコンセプトです。社内の共有の価値観だけでなく、市場 他社からの見え方や良さをどう伝えるのかも含めて考えていきます。ここで成功していないと、ブランドが浸透しなくなりますし、価値の向上に繋げることが出来ません。
・ロゴ
ロゴタイプの略称になり、商品やサービスなどに設定された個別マークのことをいいます。ブランドのアイデンティティを決めるものでもあり、品質保証としての意味もあります。
ブランドの想いを伝えることもできますし、一目見て同じブランドの商品として認識してもらえ、競合との差別化にもなります。そのため、ロゴは著作権を保護するためにも「商標登録」を行う必要があり、所定の費用がかかります。
・キャッチコピー
キャッチコピーは、ブランドの独自性や世界観を伝えることでもあります。ひと言でブランドのイメージを伝えることができ、運営方針の指針やデザインの軸としての役割を持っています。ただし、文章としては短く、伝えられる内容は限られてしまいます。
ブランドの魅力を伝えるためにも、キャッチコピーは欠かせません。伝えたいことが顧客にとっても魅力的に感じてもらえるように、誰にでも伝わりやすく理解しやすいものにすることが大切です。
・WEBサイト
自社のWEBサイトを使い、ブランディングを行うこともできます。例えば動画の投稿サイトやWEBサイトを使い発信し、流入して広げていくための施策になります。
マスメディアを使うよりも安価にでき、ブランドの詳細情報を発信することもできます。WEBサイトを使えば、ユーザーの動向データを収集できる良さもあります。ただし、定期的なメンテナンスについて外注するなど無理なく続けていける方法を模索してください。
・キービジュアル
キービジュアルは、WEBサイトのトップページやポスターなどの広告物で企業のブランドイメージを訴求するのを目的にした、写真やグラフィックのことをいいます。ブランドらしさでもあり、視覚的に印象を残すためのデザインです。文字列の組み合わせでは、商品やサービスについて覚えてもらうことは難しく、いかに潜在的な顧客層や見込み客に対して印象を残せるか、差別化できるかにかかっています。
・SNS
InstagramやTwitter、やFacebookなどのSNSもブランディングが も重要です。SNSによっても利用する年齢層に違いがあるため、ターゲットを意識しながら調整していくことも欠かせません。それぞれのエンゲージメント率に着目しながら、分析を続けるようにしてください。より多くの人にしってもらえるきっかけになりますし、コストを抑えつつブランディング戦略ができます。
2. ブランディングとマーケティングは両方行うべき

企業にとってもブランディングとマーケティングのどちらを行うべきか、迷っているかもしれません。両方に特徴があり、完全には分けきれないものです。両方行うことでお互いの良さを活かすことができます。
・ブランディングはマーケティングの土台(基礎)となるもの
ブランディングは、ブランド全体の価値を大きくするものです。商品やサービスそのものだけでなく、周辺の価値を作りそれを増幅させてくれるものです。
よりよい商品を作ることにもなりますし、広告の効果も変わってきます。日頃からブランディングに力をいれている企業の場合、今まで作り上げてきた土台があります。企業にとって重要な顧客の集客もできていますので、商品に魅力を感じ拡散してくれる可能性も高まります。ブランディングが広まりやすく共感を得やすい特徴があります。
ブランディングがあるからこそ、マーケティングのプロモーションの効果が出やすくなるといっても過言ではないのです。
・付加価値をつけ長期的な顧客をつけるために必要
ブランディングは、企業の商品やサービスを高めようとする活動そのものになりますが、その価値をどうやってターゲットに伝えるのかがマーケティングになります。
伝える手段は欠かせないものですし、企業にとっても付加価値をつけて長期的な顧客をつけることにも繋がります。お互いが密接に関係しているからこそ、顧客作りにも繋がる部分といえます。
・お互いのバランスも重要になる
ブランディングとマーケティングは、両方のバランスも重要になります。お互いに分けきれない存在でもあり、商品のフェーズによってもどちらに力をいれるかどうかを見極めることが必要になります。
スタートアップの企業にとっては、ブランド構築をメインにするのではなく、認知度を高めていくことも重要になります。知名度もあり成熟している企業であればブランディングを行いイメージを構築していくほうが、いい影響を与えることにもなります。お互いのバランスも意識しつつ行うようにしてください。
3.ブランディングとマーケティングを成功させるには
ブランディングとマーケティングを行い成功させるためのポイントを紹介します。
・顧客に合わせたニーズを意識すること
ブランディングとマーケティングのいずれも、顧客に合わせたニーズを意識できるかどうかが重要になってきます。例えば、ブランディングは顧客の嗜好や価値観を重視しながら、ブランドのイメージそのものを決めていく必要があります。
マーケティングの場合は、顧客のニーズを意識しつつ、製品やサービスについて考えていきます。そもそも、顧客のニーズを意識できていないと、どんなに魅力的な商品を販売したとしても受け入れてもらえなくなってしまいます。
・顧客とのコミュニケーションをとる
ブランディングもマーケティングも、顧客とのコミュニケーションは重要です。商品をより印象的に覚えてもらうことや愛着を持ってもらうことにも繋がります。ブランディングは、商品の特徴や使い心地などを分かりやすく伝える必要があります。マーケティングは、売れるためのコミュニケーションであり、商品やサービスの口コミ評判をもとに改良を重ねていき、より売れるための商品を企画することです。
・常に知識のアップデートを行う
ブランディングとマーケティングを成功させるためには、常に知識や技術力のアップデートを行うようにしましょう。ブランドを構築したあとに、より多くの人に知ってもらうようにするためにも、WEBについての知識をアップデートしていく必要があります。
参考書を読んでもいいですし、セミナーに参加して学ぶ方法もあります。古い知識がそのままになってしまうことのないように、常に知識のアップデートを行うように意識していきましょう。
・プッシュ型とプル型の両方を使う
ブランディングとマーケティングを使い、顧客との積極的なコミュニケーションをとることが必要です。コミュニケーションを意識的に行うためには「プッシュ型」と「プル型」を上手に使うようにしましょう。プッシュ型はオンライン広告やオフライン広告を使って、ブランドの認知度を高めていくことです。
プル型で、顧客とのコミュニケーションをとる複合的なアプローチを行うことで、ブランドの認知度を高めて多くの人に知ってもらうことにも繋がります。顧客に価値のある情報を提供するのはもちろん、問い合わせや資料請求、申し込みなどのアクションを促す施策をします。ある程度、興味を持っている人に対して響く施策になるため着実に結びつくような施策を採用しつつ行うことになります。
ブランディングを成功させるためには自社のリソースだけに頼らず、専門会社に依頼する選択肢もあります。
4.ブランディングに成功した企業の紹介

実際にブランディングを行い、成功している企業について紹介します。
・ユニクロ
ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングは、高品質で低価格な商品展開をしています。「人々の生活をより豊かに、より快適にする究極の普段着」をコンセプトとしています。競合と比較しても機能性を重視して、低価格に特化した商品を取り扱うことで、他にはない市場価値を確立しています。
あえてターゲットを絞らないことで、すべてのユーザーをターゲットとして差別化をしています。海外へのオンライン戦略にも力をいれ認知拡大を図り、世界のスポーツ選手とのアンバサダー契約を行っています。徹底的に品質にこだわりユーザーの求める以上の価値を提供しています。
・スターバックス
スターバックスは、美味しいコーヒーはもちろんおしゃれで高級感のある空間が人気です。価格こそ高めに設定されているものの、顧客にとってもロイヤリティの高さで知られています。スターバックスのコンセプトは「サードプレイス」です。家(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)以外に、第三の居心地の良い居場所としての役割を果たす場所の意味があります。コーヒーを提供するだけでなくリラックスして過ごせるようなコンセプトを実現しているのも特徴です。広告を一切出さずに、店頭での顧客体験を高めているのも、スターバックスの特徴です。空間演出にもこだわり、香りやBGMにもこだわっているのもスターバックスの良さといえるでしょう。
・京丹後舞輪源蒸留所
標高683メートルにある、丹後天橋立大江山国定公園「京丹後森林公園スイス村」に位置する蒸留所です。豊かな自然をいかし、減圧蒸留に近い条件のなかでできるのも特徴です。「自然」「調和」「成長」「つながり」の渦の中心にいられることをコンセプトに、ボタニカルの個性を抽出して掛け合わせるプロセスを大切にしています。
国内では珍しいジンの原料である「ジュニパーベリー」などの300種類の薬草薬樹があります。神秘的な魅力を蒸留所の顔としてロゴデザインに落とし込み、パッケージを開発しました。キービジュアルやサイン計画や商品開発などのブランディングにも成功しています。
・+Cheese(プラスチーズ)
ベルヴィ株式会社がチーズをメインとしたプライベートブランドとして展開しているブランドです。親しみやすいパッケージデザインや商品開発を行い、トータル的なブランディングに成功しています。パッケージにはチーズと素材がぴったりと組み合わさったときに、新しい個性がうまれおいしい方程式を成立させる式をわかりやすく伝えています。
そんなプラスチーズのコンセプトは「チーズ+素材の『おいしい方程式』」です。もともとECサイトのみで販売するため、美味しさを購入前に感じてもらえるような洋菓子定番素材のチーズと、他の素材を掛け合わせることで、おいしい答えを導き出す、という世界観で話題性も意識しています。子供から大人までみんなが大好きなチーズを使い、誰もが美味しいと笑顔になれるスイーツづくりを行っています。
5.まとめ
ブランディングとマーケティングはそれぞれが密接な関係にあるからこそ、バランスを意識しつつ自社にあった方法で行うようにしていきましょう。
ブランディングやマーケティングに成功した企業を参考にしつつ取り入れていくようにし、ファンや顧客を増やし、企業としての付加価値を高め、長期的に成長できるようなブランドを作っていきましょう