【マーケティング担当者必見】バズに頼らないSNS運用のメリット

企業がマーケティング活用の一環としてSNSを運用することが当たり前となっている現在、どのようにSNSを運用すれば目的を達成することができるのか、運用方法やアカウントを成長させていくための手法について行き詰まっているSNS担当者の方も多いかと思います。

本記事では現在のフェーズにあったSNS運用についての考え方や、バズに変わる新たな拡散方法などをご紹介したいと思います。

この記事でわかること

  • 新しいSNS運用の考え方について
  • バズに変わる新たな拡散方法について
  • 編集部が分析、ユーザーコミュニケーション事例

1.バズに頼らないSNS運用とは

初期のSNSマーケティングでは、マスメディアで取り上げられるなどの大きな影響を生むため、バズ(爆発的な拡散)を狙うという傾向がありました。

しかし、バズによって獲得したフォロワーが、ブランド本来のターゲット層と異なる場合がでてくることや、意図的にバズを狙うことは確率的に難しく、効果も瞬間的であるため、アカウントの認知やユーザーとの関係性を深ることや、SNSからECサイトへの送客、売上の増加、「いいね」をはじめとするエンゲージメント率の向上など、具体的な「結果」を出すことには繋がりにくい傾向にあります。

現在の考え方としては、ユーザーから共感を得られるコンテンツを制作・発信することで、自社アカウントのフォロワーやファンとの継続的な関係性を構築し、自社ブランドやサービス・商品のファン層の好感度を上げることや、アカウントの信頼に繋げることが主流となっています。

PROFITでは戦略を立てるうえで軸にしているのが、「企業ブランドのオリジナリティ」です。

どんな商品なのか、ほかにない特徴や魅力は何か、どんな人に支持され、どういうシチュエーションで買われているのか。

それらを徹底的に掘り下げ、リアルで評価されている点をデジタル戦略にも落とし込み、その企業ブランドにとって最も適切で効果的なバズに頼らないSNS運用を行ないます。

また、自社アカウントを伸ばしていくことや、最終的な目的や施策を達成するためには、前述した理由で瞬間的なバズを狙うのではなく、LTV(ライフタイムバリュー)のような長期的な視点をもって運用していくことが大切です。


2.LTV(ライフタイムバリュー)とは?

ある顧客が自社の利用を開始してから終了するまでの期間に、自社がその顧客からどれだけの収益をもたらしたか、収益の総額を算出するための指標です。

LTVは「多くの顧客との取引は一度限りではない」という考え方に基づき、企業が新たな顧客を利益とする場合、さまざま施策に対してリソースや大きな資金を投じます。

そうして得た顧客とは、その先も良好な関係を築くための企業や商品へのファン化・信頼感を向上させ、アップセル(より上質な商品やサービスへの乗り換え)やクロスセル(新たな商品・サービスの紹介)、他では入手できない絶対的な価値を提供し続けることにより、効率よくLTVの上昇を見込むことができます。このような考え方も、バズに頼らないSNS運用を行う上で重要な視点になっています。


3.バズに頼らないSNS運用の強みとは

きちんとEC送客や商品購入などの結果につなげるためには、ブランドごとのデジタル戦略を適切に設計する必要があります。

つまり、SNSによって「どのようなお客さまに対して、どんなタッチポイントをつくり、いかにコンバージョンまで持っていくか」という考え方です。自社商品やサービスをあまり認知していないユーザー(潜在層を含める)に対してはターゲティングできるWeb広告など、実際に購入を検討しているユーザーに対してはWebサイトや店頭でのプロモーション施策などを行います。

SNSは、この中間にある「自社ブランドやサービスへの興味・関心があるユーザー」に対して継続的にコミュニケーションをとることで、アカウントの信頼に繋げ、購入検討層のフェーズに上げることができるということが強みです。

どの指標で判断するのかについては、ユーザーコミュニケーションの観点から投稿への反応に関わる数値(エンゲージメント数など)を分析します。

数値を分析することでターゲットに情報を届けられているのか、自社アカウントの成長に繋がる結果を導き出すことができる「質」のよい発信をすることができているのかということも重視して運用しましょう。

具体的な運用方法の考え方については以下の記事でも記載しているので、参考にしてみて下さい。

【ファンを生むSNS運用】ブランドらしいSNS運用と、好感度を上げるコミュニケーションについて

各SNS媒体の指標(参考)

Instagram

  • リーチ数
  • ハッシュタグ投稿数の変化
  • エンゲージメント数
  • フォロワーの増加数
  • UGC など

X

  • インプレッション数
  • エンゲージメント数
  • フォロワーの増加数
  • UGC など

TikTok

  • 動画再生回数
  • エンゲージメント数
  • フォロワーの増加数
  • UGC など

YouTube

  • インプレッション数
  • 動画再生回数
  • エンゲージメント数
  • 高評価数
  • チャンネル登録者の増加数
  • UGC など

4.弊社事例:リピーター狙いのSNS戦略で、ECサイトへの送客が20倍に

大手百貨店を中心に焼き菓子や生菓子を販売する「シュクレイ」様の事例をご紹介します。

課題

実店舗だけでなく、オンラインストアでも販売しておりECの売上は好調だが、SNSからの集客が見込めていない。

目標

SNS経由でのEC購入増加

分析内容

どのようなユーザーがECサイトを利用しているのか調べたところ、多くのユーザーはECサイトを利用する以前に、百貨店などの実店舗ですでに購入履歴があることがわかった。

一度買ってみて美味しかったから、自ら検索してECサイトにたどり着いてくれた「リピーター」が大半だったことがわかった。

仮説

ECサイトで購入したユーザーはすでに実店舗での購入実績があり、商品自体は良いものだと認識されている。

しかし、時間がなくて店頭に足を運べない場合にはECを利用している。

SNSの方向性

シュクレイ様をしらない新規のユーザーに向けてブランドをアピールする役割だけではなく、既存のファンの方が催事や新商品の情報を定期的にキャッチアップする役割もあると判断し、リピーターのお客さまが手土産や贈り物を買いたいと思ったときに、シュクレイさんのお菓子を「想起してもらう」ための発信をしていく。

施策

日常の投稿を増やすことはせず、多くの人がお菓子を購入するクリスマスや年末、バレンタインなどに合わせてインスタのストーリーズで新商品や催事のお知らせを投稿するなど、最も効果的と思われるタイミングで一気に投稿量を増加させた。

「イベントに合わせてお菓子を買いたかったけど、実店舗に足を運べず機会を逃してしまった人」が、シュクレイさんのお菓子のことを思い出し、ECサイトに来れるように常に投稿からECサイトへ飛べるようにした。

結果

仮説が当たり、SNS経由のコンバージョン率20倍以上という「結果」をしっかり残すことができた。結果的に、SNSを経由したセッションは昨年と比べて426%になり、SNS経由で購入ページまでたどり着いた方の人数は2,625%に。SNS経由の商品購入者数は2,912.50%(約29倍)にものぼりました。


5.ユーザーコミュニケーション事例

SHARP シャープ株式会社

SHARPのようなフランクなアカウントは企業が独自に築き上げたノウハウやキャラクターがあるため、運用方法を真似しただけでは成果が出づらい傾向にありますが、診断系などのユーザーが楽しめるコンテンツとイベントの告知やキャンペーンなどを組み合わせた投稿が発信されています。

上記事例のような、最初からSHARPのような確立されたユーザーコミュニケーションは難しいため、まずはユーザーとコミュニケーションの取れる内容やハッシュタグなどを使用した投稿を考えてみるといいのかもしれませんね。

ジョア【公式】(X)

ジョアとリカちゃんキャラ診断というコラボ投稿です。

「あなたはリカちゃんファミリー&フレンドのうち、どのタイプに近いかな?」という問いかけを行い、ユーザーが自分の診断結果をシェアすることでキャンペーンの宣伝効果にも繋がっています。

SHIBUYA109(Instagram)

SHIBUYA109の公式アカウントでトレンドの性格診断テスト「MBTI」を紹介している投稿です。

通常の診断よりも簡略化されており、若年層が簡単に参加できる内容となっています。

また、投稿画像やキャプション内で「みんなのMBTIをコメント欄で共有してね」という問いかけを行い、ユーザーコミュニケーション(コメント)を自然に促しています。


6.まとめ

現在のSNS運用では、一時的なバズで認知を得るよりも、ターゲットが求めている情報を把握し、それをコンテンツ化することや、継続的に発信を続けることが大事であるということをご紹介させていただきました。

設定したターゲット層からの支持を継続的に得ることができる運用をすることが、長期的なアカウント成長に繋がり、自社ブランドの価値を深く理解するファン層との関係性を深めていくことで新たなメリット(購買意欲の向上、UGCによる認知拡大など)がうまれていきます。

ぜひ、本記事を参考にして自社のSNS運用の参考にしてみてくださいね。